運搬作業の重量制限と安全に行うための3つの注意点

運搬作業の重量制限と安全に行うための3つの注意点

工場や倉庫などの現場では、重量物の運搬を行う際に腰への負担がかかりやすくなります。実際に、腰痛が原因で長期間休業するケースも多く、20代や30代などの若年層でも腰痛になる恐れがあります。

法令では、運搬作業による身体へのリスク防止のために、年齢や性別によって取り扱う荷物の重さが定められています。安全に運搬作業を行うためには、法令による重量制限を守るとともに、動作・作業環境などにも注意が必要です。

この記事では、人力で運搬を行う際の重量制限と注意点について解説します。

出典:厚生労働省『人や重量物の運搬作業の基本』『Ⅱ.腰痛を予防するための「見える化」


▼腰痛対策に役立つ機器・装置はこちら


目次[非表示]

  1. 1.運搬作業の重量制限
  2. 2.運搬作業を行う際の3つの注意点
    1. 2.1.①負担の少ない持ち方を意識する
    2. 2.2.②荷物置き場に高さを設ける
    3. 2.3.③安全な作業環境を確保する
  3. 3.運搬作業の自動化・省力化に役立つ機器・装置
  4. 4.まとめ


運搬作業の重量制限

女性や年少者は、重量物を取り扱う際の重量が法令で制限されています。

女性労働基準規則』第2条・『年少者労働基準規則』第7条で定められている運搬作業の重量制限は以下のとおりです。


▼運搬作業の重量制限


断続作業
継続作業
満16歳以上、満18歳未満の女性
25kg
15kg
満16歳以上、満18歳未満の男性
30kg
20kg
18歳以上の女性
30kg
20kg


なお、満18歳以上の男性には、重量物の運搬について法令による制限はありません。ただし、腰痛を予防する観点から、体重に応じて取り扱う重量の目安が示されています。


▼重量物を取り扱う際の目安

女性
体重の24%以下(男性の60%)
男性
体重の概ね40%以下
満18歳以上の男性
55kg以下


たとえば、満18歳以上の男性労働者の体重が60kgの場合、人力のみで取り扱える重量物は、24.0~25.0kgとなります。(60kg×0.4≒24.0~25.0kg)

また、建設現場や工場などで運搬する重量物の個数の目安は以下のとおりです。


▼重量物の個数の目安

重量物の個数の目安

画像引用元:厚生労働省『18歳以上男子の取り扱う重量の「見える化」


出典:厚生労働省『人や重量物の運搬作業の基本』『18歳以上男子の取り扱う重量の「見える化」』/e-Gov法令検索『女性労働基準規則』『年少者労働基準規則



運搬作業を行う際の3つの注意点

重量物を運搬する際は、腰痛や転倒事故などを防止するために、動作・作業環境に注意する必要があります。


①負担の少ない持ち方を意識する

重量物の運搬作業を行う際は、腰に負担をかけにくい持ち方を意識することが大切です。

同じ動作の繰り返しや不自然な姿勢を取ることで、腰へ負担がかかり、腰痛の要因となることがあります。腰への負担を軽減するために、運搬時の姿勢や動作に気をつけることが重要です。


▼腰への負担を軽減する持ち方の例

  • 荷物を持ち上げる際、体を荷物に近づけて、重心が低くなるような姿勢を取る
  • 荷物を持ち上げる際、呼吸を整えてから腹筋に力を入れる
  • 床に置いている荷物は、片足を前に出して膝を曲げて腰を下ろした状態になり、膝を伸ばして持ち上げる
  • 荷物を持っているときは、腰をひねらず、背を伸ばした姿勢を保つ


これらのほかに、滑り止めのついた手袋や荷物に持ち手をつけるなど、荷物を運びやすくする工夫も必要です。

出典:厚生労働省『人や重量物の運搬作業の基本


②荷物置き場に高さを設ける

荷物を持ち上げたり、降ろしたりする際、不自然な姿勢にならないように、荷物置き場に高さを設けることも重要です。

床に置いた荷物を持ち上げる動作は、腰痛の要因となる可能性があります。そのため、持ち上げやすい高さに荷物を置けるように、作業スペースを整える必要があります。

また、運搬頻度が高いものは肘の高さに、運搬頻度が低いものは床、というように、荷物置き場の高さを工夫することも大切です。


▼作業スペース・運搬時の注意点

  • 運搬頻度の高い荷物を肘の高さに置く
  • 荷物を高く積み上げない
  • 高低差のある場所から荷物を移動させる場合は、身長差の少ない2人以上で運ぶ
  • 机や作業台などの高さを調整できるようにする


出典:厚生労働省『人や重量物の運搬作業の基本』『重量物取扱いなどによる腰痛を予防しましょう


③安全な作業環境を確保する

重量物の運搬作業においては、安全な作業環境を確保することも欠かせません。

重量物を持ちながらの移動や階段昇降は、腰へ負担がかかるほか、転倒・つまずきなどの事故につながるリスクもあります。

このようなリスクを防ぐために、現場の運搬ルートや作業環境を見直して、安全に運搬作業を行えるようにすることが重要です。


▼作業環境の見直し例

  • 作業場でのつまずきを防止するために、凹凸や段差がない状態にする
  • 足元や周囲の安全が確認できるように、作業場を適切な明るさにする
  • 移動時のつまずきや滑りを防止するために、滑りにくい床面にする
  • 身体への負担を軽減するために、長時間の同じ姿勢で作業することを避ける


出典:厚生労働省『人や重量物の運搬作業の基本』『重量物取扱いなどによる腰痛を予防しましょう



運搬作業の自動化・省力化に役立つ機器・装置

重量物の運搬作業による腰への負担を軽減するためには、機器・装置などを用いて自動化・省力化を図ることが有効です。


▼運搬作業を自動化・省力化できる機器・装置

リフター
重量物の持ち上げや棚への積み降ろしなどを行う補助台車
自動搬送装置
設置した軌道に沿って荷物を自動搬送する機器
コンベア
荷物を連続的に一方方向に運搬する装置
電気チェーンブロック
フックで荷物を上げ下げして、重量物を運搬・移動する機器
電動チェーンバランサ
重量物の上げ下げをサポートする機器


重量物の運搬作業を行う際は、用具・機械を使って作業員の負担を軽減することが望ましいといえます。前述した注意点を踏まえつつ、作業に適切な機械を導入してはいかがでしょうか。

キトー』では、工場や倉庫、建設現場などにおける重量物の運搬を自動化・省力化できる“電気チェーンブロック”や”電動チェーンバランサ”を提供しています。


電動チェーンバランサと電気チェーンブロックの構造・用途の違いは、
以下ブログ記事を参照ください

  分かりそうで分からない!電動チェーンバランサと電気チェーンブロックの違いを解説 皆様は電動チェーンバランサと電気チェーンブロックの違いをご存知でしょうか?? どちらも似たような見た目をしており、荷の運搬作業に用いるという目的は同じでも、操作方法・製品の構造は異なります。 本編では電動チェーンバランサと電気チェーンブロックの構造や使用用途の違いを解説します。 株式会社キトー


▼電動チェーンバランサ


キトー電動チェーンバランサは、操作性に優れており 荷を直接もって操作できるので、誰でも簡単に運搬作業を行うことが可能です。



▼キトー電気チェーンブロック


キトーは、用途や荷役の内容、作業環境の条件に応じて適切な電気チェーンブロックを提供いたします。


まとめ

この記事では、重量物の運搬作業について以下の内容を解説しました。


  • 運搬作業の重量制限
  • 運搬作業を行う際の注意点
  • 運搬作業を自動化・省力化できる機器・装置


人力で運搬作業を行う際は、法令で定められた重量制限を遵守するとともに、体重に応じて持ち運ぶ荷物の重さを適切に設定する必要があります。

また、腰に負担をかけない荷物の持ち方や置き場所を工夫するとともに、安全な作業環境を整えることも大切です。

機器・装置を用いて作業を自動化・省力化することで、運搬作業による腰への負担や事故を防止できます。

キトー』では、チェーンブロックやホイストなど、さまざまなマテリアルハンドリング機器を取り揃えております。運搬作業でお困りごとがございましたら、いつでもご相談をお待ちしております。

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