電気チェーンブロックとワイヤーロープホイストの比較
天井クレーンに使用する吊り上げ装置には、リンクチェーンを使用した「電気チェーンブロック」と、ワイヤロープを使用した「ロープホイスト」の2種類の巻上機があります。重量物を巻上げ下げする目的は同じでも、仕様・構造は異なります。
容量大きいから何となくロープホイスト、前回電気チェーンブロックだったので更新時もとりあえず電気チェーンブロックを選んでしまう、なんてことはありませんか?
現場の作業効率向上のためには、現場に適した設備を導入することが必要です。
ここでは電気チェーンブロックとロープホイストの構造の違い、それに伴う用途の違いを解説します。
目次[非表示]
- 1.巻上方法の違い
- 2.製品構造の特徴
- 3.各製品の特長と適した現場
- 3.1.①電気チェーンブロック
- 3.2.②ロープホイスト
- 3.3.③適した現場まとめ
- 3.3.1.キトーからのお知らせ
- 4.注意事項
- 5.まとめ
巻上方法の違い
電気チェーンブロックとロープホイストは巻上の構造が異なります。
以下、それぞれに準拠するJIS規格の序文で定義です。
電気チェーンブロック |
電動機を用い,リンクチェーンによって作られたロードチェーンがかみ合っているロードシーブを減速回転させて,荷の巻上げ及び巻下げをする |
ロープホイスト |
三相かご形誘導電動機を用い,ワイヤロープを巻き付けてあるドラムを減速回転させることによって,荷の巻上げ及び巻下げ並びに横行を行う |
※ロードシ―ブ・・歯車のようにチェーンにかみ合い、チェーンを巻き取る部品
※ドラム・・円筒状の機械部品
参考)準拠しているJIS規格
電気チェーンブロック |
ロープホイスト |
JIS B 8815 |
JIS C 9620 ※JIS規格上「ロープホイスト」は「電気ホイスト」と表記されます。 |
製品構造の特徴
電気チェーンブロック |
ロープホイスト |
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【外観の様子】
各製品の特長と適した現場
①電気チェーンブロック
電気チェーンブロックの一番の特徴は、本体がコンパクトであることです。
フック間距離が小さいので、天井が低く、吊り代を確保したい現場や、横方向・スパン方向をぎりぎりまで活用したい現場に向いています。製品が小型で分解組立も比較的容易なので、メンテナンス性も優れています。
100kg程度からラインナップが揃っており小容量帯を得意としています。ロープホイストが天井クレーンとセットで使用されることがほとんどなのに対して、天井クレーンだけでなく、テルハレールやジブクレーン、ライトクレーンと組み合わせて使われることもあります。
②ロープホイスト
最大の特徴は、巻上速度が速いことです。
揚程が長い現場だと、巻上に時間がかかるので、速度に軍配が上がるロープホイストが有利になります。
ラインナップは1t以上としているものが多く、2.8t以上の重量物の運搬にはワイヤーロープホイストが選ばれることが多いです。
ワイヤの掛け数もが大きいので、安定して巻き上げることができ、フックのサイズも大きいので、サイズの大きい荷物に使用されます。
③適した現場まとめ
電気チェーンブロック |
ロープホイスト |
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キトーからのお知らせ
電気チェーンブロックのコンパクトさとロープホイスト高速巻上という、両者のいいところを掛け合わせたような「電気チェーンブロック2.8tシングルチェーン」も発売しております。
こちらも併せてご検討ください。
注意事項
このブログの内容はあくまで一般論になります。製品の選定にあたっては、吊り上げる荷物・使用頻度、現場環境など様々な要素を考慮する必要があります。また製品の選定の際は各製品のスペックを比較し、検討をお願い致します。
まとめ
この記事では、電気チェーンブロックとロープホイストの違いについて解説しました。
- 巻上方法の違い
- 構造の違い
- 各製品の特長とそれぞれに適した現場
『キトー』では、電気チェーンブロックとロープホイストどちらも取り揃えており、お客様の作業現場にあったご提案が可能です。
是非お気軽にお問合せください。