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電気チェーンブロックの使用頻度の目安「定格」

よくお問合せを受ける質問の一つに「電気チェーンブロックの使用頻度はどのくらいですか?」というものがあります。こちら丁寧に回答したいのですが、「お客様の使用状況による」というのが正直な回答になってしまいます。


では、使用頻度に関する基準や規定がないのかというとそのようなことはございません。
ここでは基準の1つである「巻上電動機の定格」について解説致します。



目次[非表示]

  1. 1.定格とは? 
  2. 2.短時間定格とは? 
    1. 2.1.短時間定格の定義
    2. 2.2.短時間定格の連続使用の条件
    3. 2.3.実際の数値例
  3. 3.反復定格とは? 
    1. 3.1.反復定格の定義
      1. 3.1.1.◇負荷時間率とは? 
      2. 3.1.2.◇最大使用頻度とは? 
    2. 3.2.実際の数値例
    3. 3.3. 注意
  4. 4.注意事項
  5. 5.まとめ


定格とは? 

電気チェーンブロックにおける定格を、JISでは「回転機に保証された使用限度」とされており、電動機を保証する使用限度と定義されています。

その中で、時間定格とは、「当該電動機の作動による発熱が、電動機絶縁材の許容できる温度内に納まる」運転時間・運転頻度を現わしており、その範囲内ならばモータが焼損しないことを意味します。
ただ、ユーザの様々な使用状況を想定した試験は困難であるため、その目安又は優劣を表すものとしてJIS B8815 では「短時間定格」と「反復定格」を定めています。

定時間定格と反復定格の大きな違いは以下の通りです。

●定時間定格
短時間の連続運転をどのくらい続けることができるか?


●反復定格
長時間の作業を続けるのに、1サイクル内でどのくらいの割合で稼働させることができるか?



短時間定格とは? 

短時間定格の定義

短時間定格は短時間に連続運転が集中した場合を想定し、「短時間に連続的に運転※したときモータの許容温度上昇限度まで達するには、何分間続けて作動できるか」と言うものです。
(※この場合の連続運転の条件は、次の章で解説します。)

短時間定格は「〇〇分」という形で表され、数字が大きいほど連続使用が可能になります。
この規格は、以下の通りです。


5分
7.5分
10分
15分
20分
30分
40分
50分
60分



短時間定格の連続使用の条件

巻上の場合

荷重:定格荷重を負荷
試験サイクルは以下の通りです。


定格速度(m/min)
巻き上げ基準負荷サイクル
2未満

巻上げ0.2 m → 休止3秒 → 巻下げ0.2 m → 休止3秒

2以上

巻上げ1 m → 休止3秒 → 巻下げ1 m → 休止3秒


走行・横行の場合

荷重: 定格荷重を負荷
試験サイクルは以下の通りです。


定格速度(m/min)
横行基準負荷サイクル
4未満

横行0.4 m → 休止3秒 →  横行0.4 m → 休止3秒

4以上

横行2 m → 休止3秒 → 横行2 m → 休止3秒


実際の数値例

キトーエクセルER2
短時間定格:60分

➡実験上では、下図のサイクルを1時間連続で使用できる。


反復定格とは? 

反復定格の定義

反復定格は自動運転・生産ライン等の使用を想定し、「長時間の反復作業を続けるには、1 回の作業サイクルの時間内で、運転時間比率が全体の何%以下であれば良いか」を表している規格。

反復定格は「〇〇%ED」という形で表される負荷時間率と、
「〇〇回/h」という形で表される最大始動頻度との組合せによって決まっており、
1速形の組み合わせは以下の表の通りです。


項目

1速形の場合

負荷時間率   %ED

15

20
25
30
40
50
60

最大始動頻度  回/h 

90 

120

150
180
240
300
360

負荷時間率の%EDの数値が大きい方が反復作業をしやすいとされます。

◇負荷時間率とは? 

電動機の作動している割合のこと。以下の数式で求められる。

◇最大使用頻度とは? 

1 時間当りの電動機の作動している 回数のこと。以下の数式で求められる

実際の数値例

例)起動頻度360 回/h 負荷時間率60%時の運転サイクル
(キトーエクセルER2 1速形の場合)
 
ここで計算は割愛しますが、起動回数が360回、負荷時間率が60%を満たす、運転サイクルは以下の通りになります。


キトーエクセルER2では、このサイクルであれば1時間の連続使用が可能であるということになります。

参考;計算の確認)
この場合の負荷時間率は
( 6 + 6 ) / 20 = 60%
最大使用頻度は
( 3600 / 20)× 2 = 360

 注意

  • 短時間定格の試験サイクルでは、定格荷重をかけた想定ですが、反復定格は定格荷重の63%の荷重をかけた場合を想定しています。
  • 細かくなるので割愛しますが、2速の場合の1サイクルあたりの計算式や反復定格もJISにて決められております。

反復定格(2速形の場合)

2速形の反復定格については,負荷時間率では低速と高速との割合を1:2とし,最大始動頻度
では低速と高速との割合を2:1とする

項目







負荷時間率
(%ED)

5/10

7/13

8/17

10/20

13/27 

17/33

20/40 

最大始動頻度
(回/h)

60/30

80/40

100/50

120/60

160/80

200/100

240/120



注意事項

あくまでこの数値は実験上の目安であり、お客様の現場で同様のサイクルで使用できることを保証しているわけではありません。


まとめ

ここでは電気チェーンブロックにおける時間定格について解説しました。
『キトー』の電気チェーンブロックはエクセルER2、電気チェーンブロックEQともに、JIS規格上の最上級の規格を満たした製品です。


  キトーエクセル ER2 | 電気チェーンブロック | 株式会社キトー 安全性、耐久性、メンテナンス性を追求した、高品質・高性能チェーンブロックです。 2速形は標準仕様でインバータを装備、作業効率を大幅に向上させます。 安全にこだわるからこそ、業界で例のない製品保証3年、昇降ブレーキ保証10年。特殊対応も充実。 株式会社キトー
  電気チェーンブロック EQ | 電気チェーンブロック | 株式会社キトー 全タイプに2速インバータ・電子式オーバーロードリミッター・無負荷高速機能を標準装備。 万が一の事故を未然に防ぎ、作業効率、トータルコストも重視し、軽量かつコンパクトなボディを実現。 これからの電気チェーンブロックの、新たな1ページです。 株式会社キトー


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