天井クレーンの種類とは? 設置のメリットや注意点も解説
天井クレーンとは、建物の天井に設置して荷物を吊り上げて運搬する機械のことです。主に工場・倉庫などの現場で、重く大きな建材や部品などの運搬を行う際に使用されています。
天井クレーンを設置することによって、安全性や作業効率の向上が期待されています。ただし、天井クレーンには構造・機能が異なるさまざまな種類があるため、用途や環境に合った機械の選択が必要です。
また、設置する建物や設置後の点検に関して、法令で定められた規定を遵守することも重要です。
この記事では、天井クレーンの設置を検討している企業に向けて、主な天井クレーンの種類と設置のメリット、注意点について解説します。
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目次[非表示]
- 1.天井クレーンの主な種類
- 1.1.①オーバーヘッドクレーン
- 1.2.②ローヘッドクレーン
- 2.天井クレーンを設置するメリット
- 3.天井クレーンの設置に関する注意点
- 3.1.①建物の対応可否を確認する
- 3.2.②届出・報告書を提出する
- 3.3.③設置後の点検を実施する
- 4.まとめ
天井クレーンの主な種類
天井クレーンは、大きく2つの種類に分けられます。
①オーバーヘッドクレーン
オーバーヘッドクレーンとは、建物の柱に走行レールを取り付けて、荷物の吊り上げ・運搬を行うクレーンです。建物の柱で荷重を受けるため、大容量のクレーンや重量物に対応できるのが特徴です。
天井とレールの間に空間を設ける必要はありますが、天井梁下までの空間を有効利用できるため、揚程を高く確保できるメリットがあります。また、オーバーヘッドクレーンは、レールのガーターの数に応じて、2つの構造に分けられます。
▼オーバーヘッドクレーンの構造
シングルガーター |
1本のガーター上を走行する |
ダブルガーター |
2本の並行なガーター上を走行する |
ダブルガーターは、シングルガーターと比べて大容量のクレーンに設置されており、ロングスパンの荷物にも対応できます。
②ローヘッドクレーン
ローヘッドクレーンとは、建物の天井梁に走行レールを固定して、懸垂して走行するように設置されたクレーンです。サスペンション形クレーンと呼ばれることもあります。
柱がない場所でも設置できるため、走行レールの取付位置・スパンを自由に設定しやすいことが特徴です。
ただし、柱で荷重を受けるオーバーヘッドクレーンとは異なり、梁に吊り下げる形で荷重がかかるため、重量物の重さによっては吊り上げできない場合もあります。
天井クレーンを設置するメリット
天井クレーンを設置することで、以下のメリットがあります。
- 倉庫や工場のスペース有効活用
- 運搬作業の効率化
- 安全性の向上
天井クレーンは、建物内の柱や天井梁に走行レールを取り付けるため、天井梁下までの空間を最大限に活用できる点が大きなメリットです。
また、人力での運搬が大変なサイズが大きく重い建材・部品なども、天井クレーンによってスムーズに運べるようになります。その結果、運搬にかかる時間や労力が削減されて、現場作業の効率化が期待できます。
さらに、人力での運搬作業をなくして天井クレーンを用いることで、けがや事故を防止して、安全性の向上にも貢献します。
天井クレーンの設置に関する注意点
天井クレーンの設置にあたっては、設置基準や報告書の提出、設置後の点検について規定が定められています。
ここでは、天井クレーンの設置に関する注意点を3つ解説します。
①建物の対応可否を確認する
事前に、天井クレーンを設置できる建物かの確認が必要です。天井クレーンの設置には建物に負荷がかかるため、強度によっては設置できるクレーンの種類が限られたり、そもそも設置ができなかったりするケースがあります。
築年数の経過によって、建物の経年劣化が起きている可能性もあるため、建物の柱に働く荷重や、構造面の強度などについても確認します。
また、天井クレーンを設置するには、天井とレールの間に一定のスペースを確保する必要があります。
運搬する物の重量や搬送ルートなどによって、設置する天井クレーンの種類が変わるため、目的・用途に応じて選択することが重要です。
②届出・報告書を提出する
天井クレーンを新たに設置する際は、『クレーン等安全規則』第5条・第11条によって、設置書の届出や報告書の提出が義務づけられています。
▼クレーン等安全規則 第5条
第五条 事業者は、クレーンを設置しようとするときは、労働安全衛生法(以下「法」という。)第八十八条第一項の規定により、クレーン設置届(様式第二号)にクレーン明細書(様式第三号)、クレーンの組立図、別表の上欄に掲げるクレーンの種類に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げる構造部分の強度計算書及び次の事項を記載した書面を添えて、その事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。
引用元:e-Gov法令検索『クレーン等安全規則』
▼クレーン等安全規則 第11条
第十一条 令第十三条第三項第十四号のクレーンを設置しようとする事業者は、あらかじめ、クレーン設置報告書(様式第九号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。ただし、認定を受けた事業者については、この限りでない。
引用元:e-Gov法令検索『クレーン等安全規則』
法令で定められた届出・報告書に関する規定は、以下のとおりです。どちらも所轄の労働基準監督署長に提出します。
書類 |
要件 |
設置届 |
吊り上げ荷重が3トン以上のクレーンを設置する場合 |
設置報告書 |
0.5トン以上3トン未満のクレーンを設置する場合 |
なお、設置届・報告書は厚生労働省のWebサイトからダウンロードできます。
クレーン等安全規則関係
出典:e-Gov法令検索『クレーン等安全規則』
設置届の記載例や、クレーン設置から使用開始までの流れは以下の資料で解説しています。
設置報告書の記載例、届け先などの詳細は以下の資料で解説しています。
③設置後の点検を実施する
倉庫や工場にクレーンを設置したあとは、定期的な点検が必要です。
『クレーン等安全規則』では、0.5トン以上のクレーンを設置した事業者には、日常・月例・年次点検の実施が義務づけられています。
また、月例・年次点検を実施する際は、結果を記録して3年間保存することが定められています。この自主点検によって異常が見つかった場合には、直ちに補修する義務があります。
まとめ
この記事では、天井クレーンについて以下の内容を解説しました。
- 天井クレーンの種類
- 設置のメリット
- 設置に関する注意点
天井クレーンは、人力による運搬が大変な大きく重量のある建材・部品などもスムーズに吊り上げ・運搬できるため、作業効率化、安全性の向上につながります。
天井クレーンを導入する際は、事前の確認をはじめ、法令を遵守した手続き・点検を行い、安全に利用できるようにすることが大切です。
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