アート作品に囲まれたキトークレーン
今回はみなさんをアートの世界へお連れしたいと思います。取材先は、緑豊かな武蔵野美術大学・鷹の台キャンパス(東京都小平市)にある彫刻学科です。彫刻学科に属する木彫工房と石彫工房、そして金属・セラミック工房には、材料の搬入や制作中の作品を移動させるためにキトーのクレーンが備え付けられています。学生さんの話に耳を傾けると、作者の思いや、制作に至るまでの背景など、作品を見ただけではわからないことが少しずつ明かされてきました。
石彫工房では、小柄な女性が体よりも大きな石を研磨しています。石材に古代の武器の模様をレリーフする予定だそうです。どんな時にイマジネーションがわくのか聞いてみると、「石に働きかけて、反応で判断することもありますし、最初から全体像を決めて取りかかることもあります」とのこと。
金属・セラミック工房では、学生さんたちがグループになってアイデアを出し合ったり、先生から指導を受けたりする様子がうかがえました。学生さんがそれぞれの作品づくりに勤しんでいる様子を見て、「彫刻」には独自性や技術だけではなく、素材の性質を学び、溶接や切削などの知識を得ることも必要なのだと思いました。
木彫工房に足を踏み入れると、さまざまな作品が出迎えてくれました。ひときわ目を引いたのが「馬」の彫刻です。立体的でリアル感がすごかったです。作者である学生さんに話を聞くことができました。「子どもの頃から馬に乗っていて、幼少期の記憶の中の馬を作品として表現しています。制作に没頭しているときは、無心になれます」。作品づくりを通じて、自分の個性や考えをカタチにできるのはとても素敵なことですね。