7年越しにつながったレール
南阿蘇鉄道は、熊本県の立野駅から高森駅を結ぶ全長17.7キロの風光明媚な路線です。熊本地震で被災し、一部の区間で運休が続いていましたが、2023年7月に全線での運転再開を果たしました。
復旧工事の最難関となった第一白川橋梁
南阿蘇鉄道は1985年に旧国鉄から移管され、周辺自治体の出資による第三セクターとして発足しました。廃線とバス転換案が示されたなか、地元の熱意によって鉄路が残ったのです。2016年4月の地震は大きな試練でした。3か月後には、比較的被害が少なかった中松駅から終着の高森駅の間で運転を再開。トロッコ列車を中心とした観光客向けの運行で事業を継続してきましたが、乗客数は震災前の2割ほどに落ち込みました。地域住民の足として機能し、沿線が活気を取り戻すには、分断区間の再開が不可欠でした。第一白川橋梁の架け替えなど、大規模な復旧工事が行われ、起点の立野駅まで7年越しにレールがつながりました。
1927年に完成した第一白川橋梁は、路線きっての絶景ポイント。地震による崩落は免れたものの、変形や破断があり、外観を再現した形で架け替えることに。橋の高さは60メートル。地上からのアクセスが困難なため、ケーブルを使って宙づりの状態で工事が進められ、キトーの手動チェーンブロックも多数使われました。
画像提供:南阿蘇鉄道株式会社