キトークレーンが小さな物質の研究をサポート
今回取材にうかがったのは、国立研究開発法人理化学研究所(埼玉県和光市)の川上恵里加先生の研究室です。研究テーマは量子コンピュータです。目には見えない小さな物質の研究に、なぜクレーンが必要だったのでしょう。研究の様子を見学させていただき、その謎が解けました。
研究に使う大型の装置を導入することが決まり、クレーンも必要になったそうです。まずはクレーンの据付工事。クレーンの揚程が5メートルを超えるため、写真のように天井板を外して、天井裏の干渉物を移動させる必要がありました。
クレーンの据付が無事に終わり、装置が搬入されました。この装置の用途を、川上恵里加先生にうかがってみました。「この装置を使って、量子効果を測定します。液体ヘリウムを用いて、装置内の温度をマイナス273℃まで冷やすことができます。低温にするのは、量子が壊れにくい環境を作るためです」。
細長い容器に小さな基板を入れて、量子効果を測定します。その容器の長さは2.5メートルほど。なるほど、だからクレーンの揚程も5メートル必要だったのですね。実際にクレーンを動かしていただいたところ、「動き出しや停止の時もスムーズで、周囲の評判もなかなかです」と嬉しいコメントもいただきました。
「量子コンピュータ技術の進化によって、これまでのコンピュータでは解析できなかったものが可能となり、処理スピードも格段に上がり、絶対的なセキュリティの確立も実現します。社会のさまざまな分野に貢献できると思います」。
取材にご対応いただいた川上恵里加先生(写真左から3人目)